不動産鑑定士ってどんな仕事?リレーリポート3 

 

リレー・リポート、第3回を引き受けてくれたのは不動産鑑定士の志村純一さん。

前回の菅野氏には、「鑑定する不動産を確認する」ということをお伝えいただいたので、それに続くプロセス、「現地調査の後どんなことをするの?」ということについてお話を伺いたいと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いします!

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志村さん、初めまして!カン太とカナ子です!今日はよろしくお願いします!

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はじめまして! 不動産鑑定士の志村純一です。
前回は菅野さんが「鑑定する不動産を確認する」というテーマでお話ししたと聞いていますので私はその後の話を担当させていただきます。どうぞよろしくお願いします!

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よろしくお願いします!
ところで、志村さん、どうして後ろ向きなんですか……僕たち、不動産鑑定士さんのリポートが仕事ですから困ります……

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すみません、インタビューなどは、大変苦手なのです……気持ちは前向きなんですが、姿は後ろ向きで勘弁してください。

えええー…… かっこいいのに、もったいない!
不動産鑑定士という職業に対するイメージにも関わると思いますが……
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大丈夫です。僕だけの問題です。

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そうですか…… 残念ですが、気持ちは前向きということで……では、志村さん、今日はよろしくお願いします!

前回の志村さんのお話では、現地調査に行ってはじめてわかることがたくさんある、と仰っていました。今日はその続きですね!
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はい、その通りです。
実際に評価対象の土地へ行ってみるとさまざまなことがわかります。例えば、不動産の鑑定を依されて現地に行ってみたら、2m道に接しているはずの土地が、1.8mしか接していなかったとしましょう。現在の法律では、道路に2m土地が接していないと家が建てられないと建築基準法で決まっていますので、理由は不明ですが、このままでは、この土地に家を建てることはできません。

あら、家が建てられなかったら困ります! 古くなっても建て替えられないなんて!雨漏りしたらどうしたらいいんですか!
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困りますよね、リフォームはできるのですが、新しく家を建てることはできないんです。そして、家を建てられるかどうかは、土地の値段に大きく影響します。

それはそうよね! 家を建てられなかったら、用途がものすごく限られてしまうもの!でも、何か、家を建てる方法はないのかしら?
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まずは、何故、2mあるはずのものが1.8mしかないのか、それを知りたいですよね。
また、このままでは無理ですが家を建てるための何らかの手段があるかもしれません。現地を確認した後に、これらのことを、さまざまな資料を集めて調べます。これが、「資料の収集及び整理」というプロセスです。
実際は、道路査定図(接道状況や道路との境界を確認)、公図(土地の形、隣の土地や道路とどのように接しているかを確認)、地積測量図(土地の地積(面積)を確認)等の資料を集めることが多いですね。

なるほど、確認のために、いろんな資料を集めるのね!それにしても、20cmの差が、土地の価格に大きく影響するのね……
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そうなんです! 他にもさまざまな要素が土地の価格に関係しますから土地を売買するときには特に気をつけていただきたいですね。理想的には、不動産の専門家である不動産鑑定士に一度、ご相談いただくと、間違いありません。それに気づかずに、売買をして損をしてしまうケースもあるのです。土地を売買する際は、注意が必要、ということを覚えておいてください。不動産鑑定士協会では無料相談会も実施していますし、webサイトから無料メール相談も受け付けていますのでぜひ活用してください!

そうね、迷ったら、専門家に聞くのが安心ね!
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先ほどは、わりと狭い土地に関しての資料の話をしましたので、こんどは面積の広い土地の場合についてお話ししたいと思います。

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広い土地なら、いろんな用途に使えそうだね!

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面積が広いだけに、さまざまな用途に使える可能性がありますが自分の土地だからなんでも勝手に建てられる、というわけではありません。「都市計画法」によって何を建てられるかが決められています。

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へぇ、そうなんだ、土地に関係する法律が色々あるんだね!

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そうですね。その土地をどのように活用することができるのか、どのように活用すると、最も有効であるかという視点をもって、都市計画法を確認したり、行政の「開発審査課」などでどのような開発が可能かを確認するんです。

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例えば、戸建ての住宅地として開発することが適切と判断したとしましょう。この場合、住宅が何件建つか、道はどのように通すか、公園は必要かといった実際の活用についても考えます。

へぇ、そこまで細かく考えた上で鑑定するのかぁ、土地が広いだけに、選択肢がたくさんあって大変そう……
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そして、想定した活用方法が、実際に可能かを行政に確認することも重要です。この際、合法であることはもちろん、土地をいかに有効に活用するか街のあり方に合っているかということも重要なポイントとなるんです。

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そういえば、以前、びっくりするような色の建物が住宅地に建設されて問題になっていたことがあったな……自分にとっては居心地よくても周囲の人にとってはそうでない、ということもあるもんね。土地の活用って、自分だけの問題じゃなくて周りの環境と深く関わっているんだね!

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おっと、申し訳ありませんが、私はここで失礼します。次の約束がありますので……至らない説明ですみませんでした。ありがとうございました!ではっ!


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志村さん、颯爽と去っていったね……
なんだか不思議な人だったね

そうね、まじめで、シャイなひとなのね、きっと。
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途中で出会った、先輩の不動産鑑定士さんとはにこやかに話していたから、普段はあんなかんじなんだろうね

そうね!いろんな人がいるわよ。
でも不動産鑑定士の仕事って奥が深いわねぇ……
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不動産鑑定士リレーレポート